ずっと、メインアシスタントに就いていてくれていた、ケンゴが5月から、スタイリストデビューをしました。
DECOはオープンしてから、6年以上経つのに今まで、生え抜きのスタイリストは1人も居ませんでした。
恥ずかしい話ですが、今まで3人のアシスタントが、スタイリスト直前までいったのですが、みんな辞めてしまいました。
僕は、3人目が辞めた時に、もう美容室は辞めようとまで真剣に考えました。
僕には、人を育てる器量も無ければ、力も技術も何もない、せっかく夢いっぱいで入ってくるスタッフに失礼だし、また同じ過ちを繰り返すなら、いっそのこと辞めようと思いました。
その時に残ってくれていたアシスタントが、ケンゴ、ひこにゃん、カッシー、まおちゃん、ユウセイでした。
彼らは、まっすぐな目をしていました。
ただ、僕はつまらないプライドと自信を無くして、彼らのまっすぐな目を直視することができませんでした。
背中を見せないとならない立場の僕が、目を見ることができないのです。
そんな時、ケンゴから深夜に連絡がラインで来ました。
僕は、嫌な予感を感じながら、ラインを開きました。
案の定、
仕事にやる気が出ない、どうしましょう?
というような内容の連絡でした。
彼は、目標を失い、1番やる気があったにも関わらず、僕の言動や、おそらく辞めたアシスタントと自分を重ね合わせて、やる気を無くしかけていました。
彼は仕事が誰よりも出来、アシスタントリーダー的な存在で優秀だったし、何より彼の性格を考えると、こんなところで美容師を辞めさせてしまったら、二度と美容師に戻ることはないなと考え、必死に止めました。
話し合いは深夜まで及び、
その日は、彼の話を聞き、彼のやる気を汲み取り、アシスタントリーダーの役職に就いてもらうこと、僕の撮影やセミナーのアシスタントに積極的に就いてもらうことを約束し、明日からまた一生懸命頑張ると約束をしました。
そして、売れるスタイリストに絶対にすることを約束しました。
何故、人が辞めるのか?アシスタントが辞めていくのか?辞めようとするのか?
自問自答を繰り返しました。
僕は、その日一睡もできずに、朝を迎えました。
答えなんて出る筈もなく、ただただ呆然と朝を迎えたと思います。
ただ、今残ってくれているスタッフ、DECOで自分を信じてくれているスタッフを、これ以上、不幸にしてはならないとだけ考えました。
その日から、朝早くから、夜遅くまで、ケンゴを始め、彼の同期のひこにゃん、カッシーと3人が、スタイリストになる為に、自分の全ての時間を費やしました。
冬の寒い日も、夏の暑い日も、毎日教えました。
疲れている時も、眠い時も、技術が出来ない時も、毎日教えました。
毎日教えているうちに、僕は、彼らに教えながら、自分が教えられ、沢山の学びがあることを本当の意味で知りました。
以前より、口では、どこかで読んだであろう、教えることは、教えられることだ。
などと偉そうに言っていましたが、
本当に実感したのは、この時、初めてでした。
恥ずかしながら、教えること、指導することの本質を知ったのが、40歳近くのこの時でした。
毎日やっているうちに、わかっていくことがありました。
彼らは、一生懸命に頑張っていて、声には挙げて言わないけど、いつか、自分達が想い描く素敵なスタイリスト、美容師になってやると真剣に考えているのに、指導に当たっている僕が、その気持ちをしっかりと受け止めず、どこか一生懸命じゃなく、熱が足りないんだと。
バカヤロー!当たり前だろ!!という声が聞こえてきそうですが、そんな初歩的なことすらも理解していませんでした。恥を忍んで書いています。
完全に覚悟が足りませんでした。
それからは、自分の時間は全てDECOスタッフの為に使おうと心に決めました。
飲みに誘っていただいたり、遊びに誘ってくれた友達に断ってしまっていたことを、今ここで謝ります。
そう行動に移してから、一年半経ちました。
ケンゴを筆頭に、みんな頑張ってくれて成長してくれました。
本当に頑張ってくれました。
僕は、彼らに沢山教えられ、救けられました。
あの時、ケンゴが店を辞めたいと言っていなかったら、今の僕はありません。
彼らが、僕が忘れかけていた、何事にも、一生懸命に熱を持って取り組むことの大切さを思い出させてくれ、救ってくれました。
ただ、僕があの日誓ったことは、彼らを必ず売れるスタイリストに絶対にすることです。
スタイリストデビューを果たしただけでは、生活していくことも、豊かな人生を送ることはできません。
彼らから、教えてもらったことに恩返しする気持ちで、感謝の気持ちを忘れず、これからも、進んで行きます。
結局は、愛なんです。
愛だろ、愛!!
では、では、
デコノクレ
渋谷神南で美容室DECOを営む クレヒトシの少し変わった日常をお届けいたします。 髪を切れば人生が変わります。 是非、ご相談ください。
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